
シフト作成アプリを使えば、シフト表をすぐに自動で作れると思うかもしれません。実際、スタッフ数や必要人数、勤務希望、夜勤、連勤、勤務回数などの条件を設定し、自動でスタッフを割り振れるアプリは、毎月のシフト作成を大きく効率化できます。
一方で、シフト作成アプリを使っても、思ったようにシフトが組めないことがあります。必要な条件を入力しているのに割り振りが完了しない、特定の日だけスタッフが入らない、条件を増やすほどエラーが出る、といったケースです。
このような場合、必ずしもアプリが使えないというわけではありません。シフト作成は、複数の条件を同時に満たす必要があるため、条件の組み合わせによっては、そもそも割り振れる候補がなくなることがあります。
この記事では、シフト作成アプリを使ってもシフトが組めない理由を整理しながら、条件設定やルールをどのように見直せばよいのかを解説します。
目次
- シフト作成アプリを使っても、シフトが組めないことがある
- シフトが組めない原因は、アプリの操作ミスだけではない
- 条件が多いほど、割り振れる候補は少なくなる
- よくある原因1:勤務できるスタッフが足りない
- よくある原因2:ルール同士がぶつかっている
- よくある原因3:勤務回数や公平性の条件が厳しすぎる
- よくある原因4:スキル・資格・役割の条件が限られている
- よくある原因5:勤務希望や予定が特定の日に集中している
- シフトが組めないときは、条件を分けて見直す
- 条件を緩める前に確認したいこと
- シフトが組めない原因の確認と見直しを自動化する方法
1. シフト作成アプリを使っても、シフトが組めないことがある
シフト作成アプリは、条件に基づいてスタッフにシフトを自動で割り振るためのツールです。必要人数、勤務できるスタッフ、希望休、夜勤、連勤、勤務回数、資格や役割の条件などを設定することで、手作業よりも効率よくシフト表を作成できます。
しかし、自動で割り振るということは、設定された条件を同時に満たすスタッフを探すということでもあります。そのため、条件が厳しすぎたり、複数のルールがぶつかったりすると、アプリ側が割り振れる候補を見つけられない場合があります。たとえば、ある日に夜勤が必要で、夜勤には一定年数以上の経験があるスタッフを含める必要があり、さらに夜勤回数の上限や勤務間隔、希望休も反映する必要があるとします。このとき、条件をすべて満たすスタッフがいなければ、その日のシフトは組めません。
つまり、シフト作成アプリを使ってもシフトが組めない場合は、「アプリが動かない」というよりも、「設定した条件をすべて満たせる組み合わせが見つからない」状態になっていることがあります。
2. シフトが組めない原因は、アプリの操作ミスだけではない
シフトが組めないと、まず「設定を間違えたのではないか」「アプリの使い方が悪いのではないか」と考えるかもしれません。もちろん、入力漏れや設定ミスが原因になることもあります。スタッフの勤務可能条件を登録していない、必要人数を誤って設定している、休日や勤務希望の入力が反映されていない、といったケースです。
ただし、操作ミスがない場合でも、条件の組み合わせによってシフトが組めないことがあります。シフト作成では、ひとつひとつの条件は自然でも、それらを同時に満たそうとすると難しくなることがあります。
たとえば、次のような原因が考えられます。
| 原因の種類 | 内容 |
| 候補スタッフの不足 | その日・そのシフトに入れるスタッフが足りない |
| 条件の厳しさ | 勤務回数、連勤、勤務間隔などの制限が厳しい |
| ルール同士の衝突 | 複数の条件を同時に満たせない |
| 役割・資格の偏り | 必要なスキルを持つスタッフが限られている |
| 勤務希望の集中 | 特定の日に休み希望や予定が重なっている |
シフトが組めない原因を考えるときは、アプリの操作だけでなく、条件そのものが現実的に成立しているかを確認することが大切です。
3. 条件が多いほど、割り振れる候補は少なくなる
シフト作成でよくある誤解のひとつに、「条件を細かく設定すればするほど、理想的なシフトが作れる」というものがあります。もちろん、職場の運用を反映するためには、必要な条件を設定することが重要です。しかし、条件を増やすほど、割り振れる候補は少なくなります。
たとえば、夜勤にスタッフを割り振る場合を考えてみます。まず、夜勤に入れるスタッフである必要があります。次に、その日に勤務可能である必要があります。さらに、希望休ではなく、前後の勤務間隔にも問題がなく、夜勤回数の上限にも達しておらず、必要な資格や経験を満たしている必要があります。
このように条件を重ねると、最初は多く見えていた候補スタッフが、実際には数人しか残らないことがあります。場合によっては、条件をすべて満たすスタッフが1人もいないこともあります。シフト作成アプリは、条件を無視してスタッフを入れるのではなく、設定されたルールに沿って割り振ろうとします。そのため、条件が増えるほど、アプリが探せる組み合わせは狭くなります。
条件を設定すること自体が悪いわけではありません。大切なのは、どの条件が本当に必要なのか、どの条件を厳密に守るべきなのかを整理することです。
4. よくある原因1:勤務できるスタッフが足りない
シフトが組めない原因として多いのが、勤務できるスタッフの不足です。ここでいう不足は、単にスタッフの人数が少ないという意味ではありません。特定の日や特定のシフトに入れる候補スタッフが足りない、という意味です。
たとえば、全体ではスタッフが十分にいるように見えても、夜勤に入れるスタッフが限られている場合があります。土日に勤務できるスタッフが少ない、特定の曜日に固定休のスタッフが多い、短時間勤務のスタッフが多い、といったケースもあります。また、勤務希望や有給休暇、研修などが重なると、その日だけ勤務できるスタッフが急に少なくなることがあります。普段は問題なく組めている職場でも、希望休が集中した月だけシフトが組みにくくなることは珍しくありません。
この場合、確認すべきなのは「スタッフ数が足りているか」だけではありません。実際には、「その日に、そのシフトへ入れるスタッフが何人いるか」を見る必要があります。
5. よくある原因2:ルール同士がぶつかっている
シフト作成では、ひとつひとつのルールは妥当でも、組み合わせると成立しないことがあります。これが、ルール同士の衝突です。
たとえば、夜勤の翌日は明けにする、連続勤務は避ける、夜勤回数は均等にする、休日勤務も偏らせない、資格を持つスタッフを必ず配置する、希望休もできるだけ反映する、といったルールがあるとします。どれも職場にとって自然な条件です。しかし、すべてを同時に満たそうとすると、ある条件を守ることで別の条件を満たせなくなることがあります。夜勤明けを確保すると次の日に入れるスタッフが減り、勤務回数を均等にしようとすると必要な資格を持つスタッフを入れにくくなり、希望休を優先すると必要人数を満たせなくなる、といった形です。
このような場合、原因はひとつのルールだけではありません。複数のルールが重なった結果、シフトが組めなくなっていることがあります。ルールが多い職場では、単に「どのルールが悪いか」を探すだけではなく、「どのルールの組み合わせが影響しているか」を考える必要があります。
6. よくある原因3:勤務回数や公平性の条件が厳しすぎる
勤務回数や夜勤回数、休日勤務の回数を公平にすることは、シフト作成で重要な考え方です。特定のスタッフに負担が偏ると、不満につながりやすくなります。そのため、シフト作成アプリでも、勤務回数の上限や下限、夜勤回数、休日勤務回数などを設定することがあります。
ただし、公平性に関する条件を厳密に設定しすぎると、シフトが組めなくなることがあります。たとえば、夜勤回数を全員同じにする、休日勤務の回数も均等にする、連勤も避ける、勤務間隔も十分に空ける、という条件をすべて絶対条件として扱うと、候補が大きく限られます。
公平性は大切ですが、すべての条件を完全にそろえることが、常に現実的とは限りません。スタッフごとの勤務可能日、スキル、希望休、勤務形態が違えば、完全に均等なシフトを作ることは難しくなります。
そのため、勤務回数や公平性に関する条件は、「必ず守る条件」なのか、「できるだけ整える条件」なのかを分けて考えることが大切です。すべてを絶対条件にすると、シフト自体が組めなくなる場合があります。
7. よくある原因4:スキル・資格・役割の条件が限られている
シフト作成では、人数が足りているだけでは十分ではない場合があります。職場によっては、資格を持つスタッフ、経験のあるスタッフ、責任者、リーダー、特定の業務を担当できるスタッフを必ず配置する必要があります。
たとえば、夜勤には一定年数以上の経験があるスタッフを含める、遅番には責任者を1人入れる、特定の資格を持つスタッフを必ず配置する、新人だけのシフトにしない、といったルールです。医療や介護の現場では資格や経験が重要になることがありますし、飲食店や小売店でもピーク時間帯や締め作業に対応できるスタッフが必要になることがあります。
このような条件がある場合、単純な人数だけを見ると問題がないように見えても、実際にはシフトが組めないことがあります。必要人数は満たせても、資格を持つスタッフがいない、責任者が入れない、経験のあるスタッフが希望休になっている、といった状態では、実務上成立しないシフトになるためです。
スキルや役割に関するルールは、職場を安全に回すために重要です。ただし、その条件を満たせるスタッフが少ない場合、他のルールとぶつかりやすくなります。
8. よくある原因5:勤務希望や予定が特定の日に集中している
勤務希望や有給休暇、研修などの予定も、シフトが組めない原因になることがあります。スタッフの希望や予定を反映することは大切ですが、特定の日に集中すると、その日の候補スタッフが大きく減ります。
たとえば、同じ日に複数のスタッフが希望休を出している場合、その日に勤務できるスタッフは少なくなります。さらに、その日に資格や経験を持つスタッフの配置も必要な場合、候補はさらに限られます。
勤務希望や予定は、単独で見れば自然な条件です。しかし、シフト全体で見ると、必要人数、勤務回数、資格や役割の条件、夜勤回数などのルールに影響します。特定の日に希望休が集中していることが、他のルールと重なって、シフトを組めなくしている場合もあります。
そのため、シフトが組めないときは、勤務希望や予定を単独で見るのではなく、その日に必要な人数や役割、他のスタッフの勤務状況とあわせて確認することが大切です。
9. シフトが組めないときは、条件を分けて見直す
シフトが組めないときは、闇雲に条件を削除したり、すべてのルールを緩めたりする前に、条件を分けて確認することが大切です。どの条件が影響しているか分からないまま見直すと、必要以上にルールを崩してしまうことがあります。
まず確認したいのは、そのシフトに入れるスタッフが足りているかです。全体のスタッフ数が十分に見えても、特定の日や特定のシフトに入れる候補スタッフが限られている場合があります。次に、勤務希望や予定が特定の日に集中していないかを確認します。希望休や研修、有給休暇などが重なると、その日だけ候補スタッフが大きく減ることがあります。
そのうえで、勤務回数や公平性の条件を厳密にしすぎていないかを見直します。勤務回数をそろえることは大切ですが、それによって必要なスタッフ配置や他の条件が満たせなくなっている場合は、条件の扱い方を考える必要があります。あわせて、スキル・資格・役割の条件を満たせるスタッフがいるか、連勤や勤務間隔などの条件が厳しすぎないかも確認します。
最後に、その日に必要な人数が現実的かどうかも確認します。必要人数はシフト作成の前提になる条件ですが、スタッフ数や勤務可能条件に対して必要人数が多すぎる場合、他のルールを見直してもシフトが組めないことがあります。
確認するポイントとしては、次のように整理できます。
- そのシフトに入れるスタッフは足りているか
- 勤務希望や予定が集中していないか
- 勤務回数や公平性の条件を厳密にしすぎていないか
- スキル・資格・役割の条件を満たせるスタッフがいるか
- 連勤・勤務間隔などの条件が厳しすぎないか
- その日に必要な人数は妥当か
このように条件を分けて確認すると、どこを見直すべきかが分かりやすくなります。
10. 条件を緩める前に確認したいこと
シフトが組めないとき、すぐに条件を緩めたくなることがあります。たとえば、夜勤回数の上限を増やす、勤務間隔を短くする、連勤の制限を緩める、希望休の扱いを変える、といった対応です。
しかし、原因が分からないまま条件を緩めると、本来見直すべきではないルールまで崩してしまうことがあります。たとえば、本当は特定の日に勤務できるスタッフが足りないだけなのに、全体の勤務回数ルールを緩めてしまうかもしれません。あるいは、資格を持つスタッフの配置が原因なのに、勤務間隔だけを見直しても解決しないことがあります。
条件を緩める場合は、どの条件を、どの範囲で見直すのかを確認することが大切です。全体のルールを変える必要があるのか、特定の日だけ調整すればよいのか。勤務回数の条件を見直すべきなのか、勤務希望の集中を確認すべきなのか。原因によって、取るべき対応は変わります。
シフト作成では、条件を緩めること自体が悪いわけではありません。大切なのは、理由が分からないまま緩めるのではなく、どの条件が影響しているかを確認したうえで調整することです。
11. シフトが組めない原因の確認と見直しを自動化する方法
シフトが組めないときは、どの条件を見直せばよいのかを確認する必要があります。しかし、条件が多い職場では、一つひとつの設定を確認しながら原因を探すのは簡単ではありません。
Assignoは、職場ごとのルールに基づいてシフトを自動で割り振るだけでなく、割り振りがうまくいかない場合に、どの条件をどのように見直せば割り振れるかを確認できるシフト作成支援アプリです。
たとえば、勤務回数や勤務間隔などの条件が影響している場合は、割り振り可能になる条件の候補を確認できます。また、スタッフの予定や勤務希望が特定の日に集中している場合は、該当する日を確認しながら、どの条件を見直せばよいかを把握しやすくなります。
提案された条件で問題がなければ、その条件をもとに再度シフトを割り振ることもできます。シフト作成を自動化するだけでなく、組めないときの原因確認と条件の見直しまで効率化したい場合は、このようなアプリを活用することもひとつの方法です。
監修者:水口 泰介
アサイノ・テクノロジーズ株式会社 代表
大学病院の医師として、部署内で約60名のスタッフのシフト作成を担当した経験をもとに、シフト作成支援アプリケーションAssignoを開発。シフト作成の考え方や判断基準を整理・体系化し、誰でも使える形でノウハウを仕組み化することに取り組んでいる。