
シフト作成を毎月行っていると、「ここを自動化できないか」と感じる場面は少なくありません。日付や曜日の入力、勤務希望の確認、勤務回数の集計、夜勤や休日勤務の偏りの調整、スタッフへの共有など、シフト作成には多くの作業があります。
一方で、「シフト作成の自動化」といっても、意味する内容はひとつではありません。Excelで日付や勤務回数の集計を自動化することもあれば、アプリで勤務希望の回収やシフト表の共有を楽にすることもあります。さらに、条件に基づいてスタッフの割り振り自体を自動化する方法もあります。
この記事では、シフト作成における自動化の考え方を整理し、Excelとアプリでできることの違いを解説します。そのうえで、自動割り振りを使う場合に重要になるポイントや、シフト作成の各作業を自動化する方法について見ていきます。
目次
- シフト作成の自動化とは、作業のどこを楽にするかを考えること
- Excelでできる自動化は、表作成と集計の効率化が中心
- 人数や条件が増えると、割り振りの判断は難しくなる
- シフト作成アプリでできること
- アプリには自動割り振りがあるものとないものがある
- 自動割り振りで重要なのは、職場のルールを反映できること
- 自動割り振りでも、条件が合わなければシフトは組めない
- Excelとアプリでできることの違い
- シフト作成の各作業を自動化する方法
1. シフト作成の自動化とは、作業のどこを楽にするかを考えること
シフト作成の自動化というと、スタッフを自動で配置してシフト表が完成する仕組みをイメージするかもしれません。もちろん、割り振り自体を自動化することも、シフト作成の自動化のひとつです。
ただ、実際のシフト作成には、割り振り以外にも多くの作業があります。日付や曜日を入力する、勤務希望を集める、有給休暇や研修などの予定を確認する、勤務回数を数える、夜勤や休日勤務の偏りを見る、作成したシフト表をスタッフに共有する。こうした作業も、毎月繰り返すとなると大きな負担になります。そのため、シフト作成を自動化したい場合は、まず「どの作業を楽にしたいのか」を分けて考えることが大切です。
表作成を楽にしたいのか。勤務回数の集計を楽にしたいのか。勤務希望の回収や共有を楽にしたいのか。それとも、誰をどの日のどのシフトに入れるかという割り振り判断そのものを自動化したいのか。目的によって、適した方法は変わります。
2. Excelでできる自動化は、表作成と集計の効率化が中心
Excelは、シフト作成を効率化するための身近な方法です。多くの職場で使われており、自由度が高く、職場ごとのシフト表の形式に合わせやすいという特徴があります。
たとえば、日付や曜日を自動で入力したり、土日祝に色を付けたり、スタッフごとの勤務回数を集計したりできます。夜勤回数や休日勤務回数を数えることもできますし、条件付き書式を使えば、特定の勤務や入力漏れを目立たせることもできます。毎月同じ形式でシフト表を作る場合は、テンプレートを用意しておくことで、最初から表を作り直す手間を減らせます。勤務回数やシフト数の確認を関数で行えば、手作業で数えるよりもミスを減らしやすくなります。
このように、Excelは「表を作る」「集計する」「見やすくする」「確認する」といった作業に向いています。スタッフ数が少なく、勤務パターンも比較的単純な場合は、Excelだけでも十分にシフト作成を効率化できることがあります。
一方で、スタッフをどのシフトに入れるかという割り振り判断には、別の難しさがあります。
3. 人数や条件が増えると、割り振りの判断は難しくなる
シフト作成の難しさは、スタッフ数や条件の多さによって大きく変わります。
たとえば、勤務希望、勤務回数、勤務間隔、スタッフごとの予定、スキルや役割など、確認する項目が同じでも、対象となるスタッフが増えるほど確認や調整の負担は大きくなります。スタッフが5名程度であれば、勤務希望や休み、勤務回数の偏りを見ながら調整しても、全体を把握しやすい場合があります。しかし、同じような条件でも、スタッフが10名、20名と増えると、確認すべき人数や組み合わせが増え、見落としや偏りに気づきにくくなります。
また、複数の条件が重なる場合は、ひとつの条件を満たそうとすると、別の条件に影響することがあります。たとえば、夜勤回数を偏らせないようにすると、勤務間隔や希望休とぶつかることがあります。特定のスキルを持つスタッフを必ず配置しようとすると、そのスタッフに勤務が集中しやすくなることもあります。ここで難しいのは、単に表を埋めることではありません。複数の条件を同時に満たしながら、誰をどのシフトに入れるかを判断することです。
人数や条件が増えるほど、シフト作成は「表を作る作業」だけではなく、「複数の条件を調整する作業」としての難しさが大きくなります。この部分が、シフト作成で特に時間がかかりやすいところです。
4. シフト作成アプリでできること
シフト作成アプリには、さまざまな機能があります。どの機能があるかはアプリによって異なりますが、勤務希望の回収、スタッフ情報の管理、シフト表の共有、勤務回数の集計、自動割り振りなどに対応しているものがあります。
勤務希望をアプリ上で回収できれば、紙やメッセージで集めた希望をシフト表に転記する手間を減らせます。スタッフ情報を登録しておけば、毎月同じ名前や条件を入力し直す必要も少なくなります。作成したシフト表をアプリ上で共有できる場合は、印刷や個別連絡の負担も軽くなります。また、アプリによっては、勤務回数や夜勤回数を自動で集計したり、入力漏れや重複を確認したりできます。スマートフォンからシフトを確認できるようにすれば、スタッフ側にとっても確認しやすくなります。
ただし、シフト作成アプリを使えば必ずシフトの割り振りまで自動化できるわけではありません。勤務希望の回収やシフト表の共有を中心とするアプリもあれば、条件に基づいてスタッフを自動で割り振る機能を持つアプリもあります。そのため、シフト作成アプリを選ぶときは、「アプリで何ができるか」だけでなく、「自分が楽にしたい作業に対応しているか」を確認することが大切です。
5. アプリには自動割り振りがあるものとないものがある
シフト作成アプリといっても、機能の範囲はさまざまです。アプリという名前だけで判断すると、「シフトを自動で作ってくれる」と思ってしまうかもしれませんが、実際には自動割り振りに対応していないものもあります。
大きく分けると、次のような違いがあります。
| アプリのタイプ | 主にできること |
| 管理・共有中心のアプリ | 勤務希望の回収、シフト表の共有、スタッフ情報の管理 |
| 作成支援中心のアプリ | 勤務回数の集計、入力漏れの確認 |
| 自動割り振り対応アプリ | 条件に基づいてスタッフをシフトに自動配置 |
| 調整支援までできるアプリ | 割り振れない原因や、見直す条件の確認 |
これらは厳密に分かれているわけではありません。複数の機能を備えているアプリもありますし、同じ「自動割り振り」といっても、どのような条件を反映できるかはアプリによって異なります。
重要なのは、自動割り振り機能があるかどうかだけではありません。自分の職場で必要な条件を反映できるか、割り振り後の確認や修正がしやすいか、シフト表の共有までスムーズに行えるかも確認したいポイントです。
6. 自動割り振りで重要なのは、職場のルールを反映できること
自動割り振り機能を見るときに重要なのは、単に「自動で作れるか」ではありません。より重要なのは、職場のルールをどこまで反映できるかです。
シフト作成には、職場ごとの細かな決まり事があります。たとえば、夜勤の翌日は明けにする、連続勤務は最大○日までにする、夜勤は月○回までにする、休日勤務を偏らせない、特定の役割やスキルを持つスタッフを必ず配置する、といった条件です。また、有給休暇や研修などの予定がある日にはシフトを入れない、特定の曜日には勤務できない、特定のシフトに入れるスタッフを制限する、といった運用もあります。こうしたルールは、職場によって大きく異なります。
自動割り振りが実務で役立つためには、これらのルールを反映できることが重要です。単に空いているところへスタッフを入れるだけでは、実際の運用に合わないシフトになる可能性があります。さらに、自動割り振りを使うには、職場のルールを整理し、それをアプリ上の設定に落とし込む必要があります。自動割り振り機能があっても、どのルールをどう設定すればよいか分からなければ、十分に活用するのは難しくなります。
つまり、自動割り振りで大切なのは、「自動で作れること」だけではなく、「職場の決まり事を整理し、反映したうえで作れること」です。
7. 自動割り振りでも、条件が合わなければシフトは組めない
自動割り振り機能があっても、条件によってはシフトが組めない場合があります。これは、自動割り振りの仕組みが悪いというより、設定した条件を同時に満たす配置が存在しない場合があるためです。
たとえば、必要人数に対して勤務できるスタッフが少ない場合、どのように割り振っても人数を満たせないことがあります。夜勤回数の上限が厳しすぎる場合や、勤務間隔の条件が厳しい場合も、割り振れる候補が減ってしまいます。特定のスキルを持つスタッフが少ない場合、そのスタッフの予定や休みと重なるだけで、条件を満たせなくなることもあります。勤務希望や有給休暇が特定の日に集中している場合も、シフトが組みにくくなります。
このようなときに、単に「自動作成に失敗しました」と表示されるだけでは、作成者はどこを見直せばよいか分かりません。夜勤回数の上限を調整すべきなのか、勤務間隔を見直すべきなのか、必要人数やスキル配置の条件を確認すべきなのか、判断が難しくなります。
そのため、実務で使いやすい自動割り振りには、割り振りに失敗したときに、どの条件を見直せばよいかを確認できることも重要です。
8. Excelとアプリでできることの違い
Excelとシフト作成アプリは、どちらが常に優れているというものではありません。どの作業を楽にしたいかによって、向いている方法は変わります。
| 比較項目 | Excel | シフト作成アプリ |
| 表作成・集計 | 自由度が高く、関数で効率化しやすい | 自動集計やテンプレート機能を備えるものがある |
| 勤務希望の回収 | 別途フォームや手入力が必要になりやすい | アプリ上で回収できるものがある |
| シフト表の共有 | ファイル送付や印刷が中心になりやすい | アプリ上で共有できるものがある |
| 自動割り振り | 標準機能では難しい | 対応しているものがある |
| 組めない原因の確認 | 作成者が自分で確認することが多い | 条件の見直しを支援できるものがある |
Excelは、表を自由に作りたい場合や、集計を自分で調整したい場合に向いています。職場独自の形式が決まっていて、作成者がその形式を細かく管理したい場合にも使いやすい方法です。一方で、勤務希望の回収、スタッフの予定の反映、シフト表の共有、自動割り振り、条件の見直しまで含めて楽にしたい場合は、アプリの方が向いていることがあります。
大切なのは、「Excelかアプリか」という単純な比較ではなく、自分の職場でどの作業が負担になっているかを確認することです。表作成や集計が主な負担なのか、勤務希望の回収が負担なのか、割り振り判断が負担なのかによって、必要な仕組みは変わります。
9. シフト作成の各作業を自動化する方法
シフト作成を自動化したい場合、単に自動割り振り機能があるだけでは十分とは限りません。自動割り振りを使うには、まず職場のルールを整理し、それをアプリ上の設定として反映する必要があります。
たとえば、「夜勤の翌日は明けにする」「特定の役割を持つスタッフを必ず配置する」「休日勤務の回数を偏らせない」「スタッフの予定がある日はシフトを入れない」といった条件を、どのようなルールとして扱うかを決める必要があります。このルール整理や設定が難しいと、自動割り振り機能があっても、実際の職場に合ったシフトを作るのは簡単ではありません。自動化したいのに、設定の段階でつまずいてしまうこともあります。
Assignoは、シフト作成に関わる各作業を支援するシフト作成支援アプリです。勤務希望の回収、スタッフの予定の反映、シフト表の共有に加えて、職場ごとの運用をルールとして設定し、その条件に基づいてシフトを自動で割り振ることができます。また、ルールの設定では、「やりたいこと」からルールを選んだり、簡単な質問への回答をもとに必要なルールを提案したりできます。これにより、職場のルールを整理しながら設定を進めやすくなります。
シフト割り振りがうまくいかない場合には、どの条件を見直せば割り振りやすくなるかを確認できます。単にシフト表を早く作るだけでなく、毎月のシフト作成で同じ基準を保ちやすくしたい場合は、こうした仕組みを活用することもひとつの方法です。
10. まとめ
シフト作成の自動化といっても、対象になる作業はひとつではありません。Excelで表作成や集計を効率化することもあれば、アプリで勤務希望の回収やシフト表の共有を楽にすることもあります。さらに、アプリによっては、職場のルールに基づいてスタッフを自動で割り振ることもできます。
Excelは、表作成や集計、確認作業に向いています。一方で、人数や条件が増えるほど、シフト作成では割り振りの判断が難しくなります。勤務希望、夜勤、休日勤務、連勤、役割配置などを同時に考える必要があるためです。シフト作成アプリを使う場合も、できることはアプリによって異なります。勤務希望の回収や共有を中心とするものもあれば、自動割り振りや条件の見直し支援までできるものもあります。
シフト作成を自動化したい場合は、まず自分の職場でどの作業が負担になっているのかを整理することが大切です。表作成や集計を楽にしたいのか、勤務希望の回収や共有を効率化したいのか、割り振り自体を自動化したいのかによって、選ぶべき方法は変わります。
職場ごとのルールを反映しながら、シフト作成に関わる各作業を少しでも楽にしたい場合は、勤務希望の回収、ルール設定、自動割り振り、シフト表の共有、条件の見直しまで支援できるツールを活用することも、有効な選択肢のひとつです。
監修者:水口 泰介
アサイノ・テクノロジーズ株式会社 代表
大学病院の医師として、部署内で約60名のスタッフのシフト作成を担当した経験をもとに、シフト作成支援アプリケーションAssignoを開発。シフト作成の考え方や判断基準を整理・体系化し、誰でも使える形でノウハウを仕組み化することに取り組んでいる。