
シフト作成では、勤務できる日にスタッフを割り振るだけでなく、職場ごとの条件を踏まえて勤務表を組む必要があります。たとえば、各シフトに必要な人数を確保する、資格や経験を持つスタッフを配置する、夜勤の翌日は明けにする、といった条件があります。
こうした条件は、職場の中では当然の決まり事として扱われていても、勤務表の作成ルールとしては明文化されていないことがあります。その場合、作成した勤務表で条件の抜けが生じたり、担当者が変わったときの申し送りから漏れてしまったりすることがあります。
また、シフトを自動で作成するアプリを導入する場合も、職場のルールを整理しておくことが重要です。普段のシフト作成で使っている条件が曖昧なままだと、アプリ上でどの条件を設定すればよいか分かりにくく、職場の運用に合った勤務表を作成しにくくなります。
この記事では、職場のシフト作成の決まり事をルールとして整理し、シフト自動作成アプリにも活用しやすい形にする考え方を解説します。
目次
- シフト作成でいう「ルール」とは何か
- ルールには、必ず満たす条件とできるだけ考慮したい条件がある
- シフト作成で整理しておきたい主なルール
- 3-1. 勤務表の基本条件を整理する
- 3-2. スタッフの配置に関するルールを整理する
- 3-3. 安全・労務に関わるルールを整理する
- 3-4. 勤務負担や公平性に関するルールを整理する
- 3-5. スタッフの予定や勤務希望を整理する
- 整理したルールをシフト作成に活用する
1. シフト作成でいう「ルール」とは何か
シフト作成でいうルールとは、勤務表を作るときに満たす必要がある条件や、できるだけ反映したい職場ごとの決まり事のことです。特別に難しい設定や、アプリ上の機能だけを指すわけではありません。
以下の表のような条件は、すべてシフト作成のルールとして考えられます。
| ルールの種類 | 例 |
| 基本条件に関するルール | ・勤務表の期間 ・シフトの種類 ・各シフトの必要人数 |
| スタッフの配置に関するルール | ・スタッフが入れるシフト ・シフトに資格や経験をもつスタッフを入れる 例:遅番には必ず上級スタッフを入れる ・特定の役割の配置 例:日勤には必ずリーダーを1名配置 |
| 安全・労務に関するルール | ・夜勤の翌日は明け ・シフトの勤務間隔を一定以上空ける ・連続勤務の制限 |
| 勤務負担や公平性に関するルール | ・夜勤・当直や休日当番の回数の上限 ・シフト回数の公平性 |
| スタッフの予定や勤務希望に関するルール | ・希望休の扱い ・有給休暇、研修などの予定 ・スタッフが勤務できない日の扱い |
多くの場合、こうしたルールは職場の勤務条件の一部として、意識せずとも日々の仕事に反映されています。ただし、シフト作成のルールとして明文化されていない状態では、シフト作成時や引き継ぎ時に不備が発生する原因となります。ルールの整理とは、このような決まり事を見える形にまとめる作業ともいえます。
2. ルールには、必ず満たす条件と、できるだけ考慮したい条件がある
シフト作成のルールは、すべて同じ重さで扱えるわけではありません。勤務表として成立させるために必ず満たす必要がある条件もあれば、可能であれば考慮したい条件もあります。
| ルールの種類 | 例 |
| 必ず満たす条件 | ・必要人数を満たす ・スタッフが入れるシフト ・シフトに資格や経験をもつスタッフを入れる ・夜勤の翌日は明け ・シフトの勤務間隔を一定以上空ける ・連続勤務の制限 など |
| 可能なら考慮したい条件 | ・夜勤・当直や休日当番の回数の上限 ・シフト回数の公平性 ・希望休 など |
スタッフの配置や、安全・労務に関連するようなルールは、必ず満たさなければならない場合が多いです。一方で、勤務負担や公平性、スタッフの希望に関連するルールは、可能なら考慮したい条件として扱われることが多いです。職場の運用によっては、人手が足りない日にスタッフの配置を一部例外的に調整したり、一部の予定や希望を必ず反映する場合もありますが、どこまで必須条件として扱うかは職場や状況によって異なります。
そのため、ルールを整理するときは、単に条件を並べるだけでなく、どの条件を必ず満たす必要があるのか、どの条件を可能なら考慮したいのかを分けて考えることが大切です。
この区別をしておくと、毎月のシフト作成で確認すべき条件が分かりやすくなります。また、アプリでシフトを自動作成する場合も、どの条件を優先すべきかを整理しやすくなります。
3. シフト作成で整理しておきたい主なルール
シフト作成のルールを整理するときは、いきなり細かな条件から考えるのではなく、まず勤務表全体の土台となる条件を確認し、そのうえでスタッフの配置、安全面、勤務負担、予定や勤務希望といった項目に分けて整理すると考えやすくなります。
ここでは、シフト作成で整理しておきたい主なルールを5つに分けて解説します。
3-1. 勤務表の基本条件を整理する
職場のルールをシフト作成に反映するには、まず勤務表の基本条件を整理する必要があります。基本条件が曖昧なまま細かなルールを設定すると、後から作り直しが必要になることもあります。
最初に整理したいのは、勤務表の対象期間、登録するスタッフ、作成するシフトの種類、各シフトに必要な人数、休日の扱いなどです。たとえば、日勤、早番、遅番、夜勤のように複数のシフトがある場合、どの勤務区分を勤務表で扱うのか、それぞれのシフトに何人必要なのかを明確にしておく必要があります。
曜日によって必要人数が変わる場合もあります。平日と土日で必要人数が違う、特定の曜日や繁忙期だけ人員を増やす必要があるといった場合は、その条件も整理しておきます。
また、休日をどのように扱うかも確認しておきたい基本条件です。所定休日の場合は、休日を勤務表上で明示するのか、勤務がない日として扱うのか、スタッフによって休日が異なる場合は、どのように休日を割り当てるのか、などの確認が必要です。
3-2. スタッフの配置に関するルールを整理する
勤務表では、必要人数を満たしているだけでは不十分な場合があります。どのスタッフがどのシフトに入れるのか、どの役割を担えるのか、およびスタッフの組み合わせなどの配置の条件も、シフト作成の重要なルールです。
医療や介護のように資格や経験が業務に直結する職場では、スタッフによって入れるシフトや担える役割が異なるため、こうした配置条件が特に重要になることがあります。飲食や小売でも、ピーク時間帯には経験のあるスタッフを入れる、遅番には締め作業ができるスタッフを配置する、といったルールが必要になる場合があります。このような条件に不備があると、見かけの人数は足りていても、実際には現場を回せないような勤務表になってしまいます。
また、職場によっては、特定のスタッフの組み合わせを避けるようなルールがある場合もあります。このような配置条件も、現場の運用を反映する上で重要です。
3-3. 安全・労務に関わるルールを整理する
シフトを作成するにあたり、スタッフの安全や労務管理に関連するルールを考慮しなければならない場合があります。たとえば夜勤・当直のある職場では、夜勤については様々な制限がある場合があります。夜勤の翌日は明けにして勤務を免除にする、夜勤の間隔は一定日数以上空ける、月間の夜勤回数を制限する、などです。それ以外でも場合によっては、夜勤や当直の前後は、通常勤務とは異なる配慮が必要になることもあります。
これらはスタッフの疲労や健康面への配慮だけではなく、一部の条件は、労務管理によって厳しく制限される場合があります。具体的な基準は業種や雇用形態、職場の運用によって異なりますが、連続勤務、勤務日数、勤務間隔、夜勤明けの扱いなどは、シフト作成時に確認しておきたい項目です。
3-4. 勤務負担や公平性に関するルールを整理する
シフト作成では、勤務負担や公平性に関するルールも整理しておく必要があります。たとえば、スタッフごとの当番回数、勤務日数、リーダーなどの役割のある日数などです。
勤務回数だけを見ると大きな差がなくても、休日当番や特定の業務などが一部のスタッフに偏っていたりすると、負担感に差が出ることがあります。また同じ勤務回数でも、日勤中心のスタッフと夜勤が多いスタッフでは、実際の負担は異なることがあります。
勤務負担や公平性に関するルールを整理するときは、たとえば以下のような点を確認します。
- スタッフごとの勤務日数
- 夜勤や当直の回数
- 遅番・早番などの当番回数
- 休日当番の回数
- リーダーなどの負担の大きい勤務が一部のスタッフに集中していないか
これらの条件は、職場によって扱い方が異なります。厳密に回数zを制限する場合もあれば、できるだけ偏りを抑える程度の条件として扱う場合もあります。
3-5. スタッフの予定や勤務希望を整理する
シフトを作成する際には、有給休暇、研修などのスタッフの予定や、スタッフの勤務・休日希望なども考慮する必要があります。どの程度スタッフの予定や希望を優先するかは職場によって異なりますが、どのような運用になっているかはルールとして整理する必要があります。
スタッフの予定や希望休などが特定の日に集中すると、その日に勤務できるスタッフが少なくなります。また資格や経験を持つスタッフ、シフトに入れるスタッフなどの条件とぶつかると、候補はさらに限られてしまう場合があります。安全・労務や公平性について考慮する場合も、スタッフの予定や要望との兼ね合いで調整が難航する場合もあります。
4. 整理したルールをシフト作成に活用する
シフト作成のルールを整理しておくと、毎月の勤務表を作るときに確認すべき条件が明確になります。シフト自動作成アプリを使う場合も、設定すべきルールが整理されていることで、導入のハードルが下がります。
Assignoは、職場ごとの運用をルールとして設定し、その条件に沿ってシフトを自動で割り振るシフト作成支援アプリです。ルールのテンプレート一覧から必要なルールを選べるほか、簡単な質問への回答をもとに、職場の条件に合いそうなルールの候補を確認できます。作成者が毎月確認している条件を、アプリ側の提案を見ながら整理し、シフト作成に反映できます。
職場のシフト作成ルールを整理し、その条件をもとに毎月のシフトを作成したい場合は、こうしたアプリを活用することもひとつの方法です。シフト作成のルールを明確にしておくことで、担当者が変わった場合にも条件を引き継ぎやすくなり、職場の運用に合った勤務表を作りやすくなります。
監修者:水口 泰介
アサイノ・テクノロジーズ株式会社 代表
大学病院の医師として、部署内で約60名のスタッフのシフト作成を担当した経験をもとに、シフト作成支援アプリケーションAssignoを開発。シフト作成の考え方や判断基準を整理・体系化し、誰でも使える形でノウハウを仕組み化することに取り組んでいる。