
ChatGPTなどの生成AIを利用する場面が増え、シフト作成にも使えないかと考える人もいるかもしれません。しかし、生成AIにシフト作成を依頼しても、思った通りの勤務表にならないことがあります。
勤務表のような表が出力されても、職場ごとの条件が正しく反映されているとは限りません。シフト作成では、対象スタッフ、割り振るシフト、スタッフごとの勤務可否、シフト回数など、多くの条件を正確に伝える必要があります。生成AIにシフト作成を依頼する場合、これらの条件を整理し、AIへの指示文(プロンプト)として伝える必要があります。しかし、実務で使える勤務表を作るための条件を、すべて言語化して、意図した通りに伝えるのは簡単ではありません。
この記事では、生成AIにシフト作成を依頼するときに、なぜ条件を適切に指示することが難しいのかを整理します。
目次
- 生成AIにシフト作成を頼んでも、思った通りにならないことがある
- 曖昧な指示では、作成に必要な条件が伝わりにくい
- 例外や条件の競合を伝えないと、AI側で補われることがある
- 指示を細かくするほど、出力結果の確認も難しくなる
- 細かい指示文を作らずにシフトを作成する方法
1. 生成AIにシフト作成を頼んでも、思った通りにならないことがある
生成AIにシフト作成を依頼すると、見た目が整った勤務表は比較的簡単に作れるかもしれません。表の形になっていて、スタッフ名や勤務区分が入っていると、一見すると勤務表として成立しているように見えます。しかし、見た目が表として整っていても、シフト作成の決まり事を正しく反映しているとは限りません。
生成AIで作成した勤務表が思った通りにならない場合、その原因が指示に含まれていない条件なのか、AI側の解釈の問題なのか、出力時の誤りなのか、分かりにくいこともあります。そのため、生成AIでシフト作成を試す前に、どのような条件を指示文で伝える必要があるのか、また、どのような条件が抜けやすいのかを知っておくことが大切です。
2. 曖昧な指示では、作成に必要な条件が伝わりにくい
生成AIは、文章の整理や要約、表の作成など、定型的な作業には強みがあります。条件を指示文として与えることで、形式の整った表を作成できることもあります。そのため、シフト表のような形式を作ること自体は得意に見えるかもしれません。
しかし、実際のシフト作成では、職場ごとの運用ルールを踏まえて、勤務を割り振る必要があります。さらに、これらの条件は独立しているとは限りません。ある条件を優先すると、別の条件を満たしにくくなることもあります。このように、シフト作成は、膨大な勤務の組み合わせの中から、条件に合う形を探し出す作業です。
生成AIにシフト作成を依頼する場合、これらの条件をプロンプトと呼ばれる指示文の中で伝える必要があります。シフト作成では、このプロンプトの中で、職場の条件だけでなく、判断基準まで含めて指示します。
生成AIは、定型的な作業であれば、ざっくりした指示でも文脈を補って出力してくれることがあります。しかし、シフト作成のように条件が複雑で、職場ごとの独自ルールがある作業では、曖昧な指示だけでは必要な情報が十分に伝わりません。
作成者にとっては当たり前のルールでも、生成AIにはその前提が分かりません。職場内では暗黙の了解になっていることも、文章として説明しなければ条件として扱われない可能性があります。そのため、生成AIでシフト作成を試す場合は、作成者側がまず職場のルールを言語化し、整理しておくことが重要です。
この整理が不十分なまま、曖昧な指示で生成AIに依頼すると、勤務表の形はできていても、実際には職場の条件に合わない勤務表になることがあります。
3. 例外や条件の競合を伝えないと、AI側で補われることがある
シフト作成では、設定された条件をすべて同時に満たせるとは限りません。
実際の勤務表では、原則通りに割り振れない場面や、複数の条件がぶつかる場面が出てくることがあります。このとき重要になるのが、条件の優先順位や例外の扱いです。条件が競合した場合にどちらを優先するのか、どの範囲まで例外として許容するのかを考える必要があります。
人間がシフト作成をする場合は、作成者自身も意識しないうちに、このような判断をしながら勤務を決めているかもしれません。しかし、生成AIにシフト作成を依頼する場合は、これらの判断基準を指示文で伝えていないと、AIが文脈からそれらしい判断をして補ってしまうことがあります。
生成AIが補った判断が、作成者の意図と合っているとは限りません。見た目には自然な勤務表でも、実際には優先順位の付け方が違っていたり、許容していない例外が含まれていたりする可能性があります。
シフト作成では、少しの判断の違いが勤務表全体に影響することがあります。そのため、例外や競合条件を伝えないまま生成AIに任せると、作成者が意図しない条件の勤務表になる可能性があります。
4. 指示を細かくするほど、出力結果の確認も難しくなる
生成AIに適切な指示を伝えるには、作成者自身がルールを理解し、整理できている必要があります。しかし、例外の扱いや、条件の競合、条件同士の影響まで、すべて言語化して整理するのは、簡単な作業ではありません。
さらに、細かく指示をしても、出力結果がすべての条件を正しく反映しているとは限りません。条件の解釈違いや、文脈の理解不足などにより、意図しない結果が出力される可能性は残ります。そのため、作成された勤務表が、職場の条件や意図に合っているかどうかは、最終的に人間が確認する必要があります。
指示を細かくすればするほど、出力結果の確認も複雑になります。どの条件が反映されているか、どの条件が抜けているか、条件同士が矛盾していないかを確認する作業は、作成者側にも相応の負担がかかります。
つまり、生成AIでシフト作成を行う場合、指示を詳しくすれば必ず楽になるとは限りません。複雑な条件を文章で伝えようとするほど、指示文の作成だけでなく、出力結果の確認にも時間がかかることがあります。
5. 細かい指示文を作らずにシフトを作成する方法
生成AIにシフト作成を依頼する場合、職場の条件を指示文で伝える必要があります。しかし、条件が複雑になるほど、すべてを文章で伝え、毎回意図した通りに反映させることは難しくなります。そのような場合は、条件をその都度指示文として伝えるのではなく、アプリ上でルールとして管理する方法もあります。
Assignoは、職場のルールに基づいてシフトを自動で割り振るためのシフト作成アプリです。生成AIのように、細かい条件を毎回指示文で説明しなくても、簡単な質問に答えたり、目的別に提示されたルールから必要なものを選ぶことで、シフト作成の決まり事を勤務表に反映することができます。シフト作成のノウハウや、例外・ルールの競合を扱うための仕組みも、システムに組み込まれています。
Assignoでは、設定された条件を満たす場合にのみ勤務表が出力されます。条件を満たせない場合は、条件を無視した勤務表を出力するのではなく、割り振りに失敗した理由や見直しが必要な条件を確認できます。
細かい指示文を作らずにシフト作成を自動化したい場合は、このようなシフト作成に特化したツールを利用することも一つの選択肢です。
監修者:水口 泰介
アサイノ・テクノロジーズ株式会社 代表
大学病院の医師として、部署内で約60名のスタッフのシフト作成を担当した経験をもとに、シフト作成支援アプリケーションAssignoを開発。シフト作成の考え方や判断基準を整理・体系化し、誰でも使える形でノウハウを仕組み化することに取り組んでいる。