
勤務シフトの作成は、職場の働き方を決める重要な業務です。そのため、シフト作成の担当者が交代するときには注意が必要です。前任者がどのような決まり事や基準でシフトを作っていたのかが十分に引き継がれないと、担当者交代後の勤務表に不備が出ることがあります。
この記事では、シフト作成担当が交代するときに起こりやすい問題と、引き継ぎで注意したい点を整理します。そのうえで、シフト作成の属人化を防ぐために、プロセス自体を仕組み化して職場のリソースとして引き継げる形にする方法を解説します。
目次
- シフト作成担当が交代するときに起こりやすい問題
- 1-1. シフト作成の決まり事が引き継がれない
- 1-2. 作成者によって基準がばらつく
- 1-3. 勤務表の品質が作成者に依存する
- 1-4. Excelテンプレートの仕組みが分からなくなる
- 担当者交代時の問題を防ぐための対処方法
- 2-1. シフト作成の決まり事を整理する
- 2-2. 判断基準も明文化する
- 2-3. 作成フローと確認項目を整理しておく
- 2-4. Excelテンプレートの管理方法を決めておく
- シフト作成をアプリで仕組み化する方法
1. シフト作成担当が交代するときに起こりやすい問題
シフト作成は、担当者の経験や職場理解に依存しやすく、属人化しやすい業務です。業務内容をシフト作成の決まり事に反映した上で、スタッフの配置や負担のバランスなど、さまざまな条件を調整しながら作成する必要があります。
そのため、担当者が交代すると、これまで問題なく回っていたシフト作成でも、不具合が生じたり、スタッフの不満が出ることがあります。
1-1. シフト作成の決まり事が引き継がれない
シフト作成の決まり事が十分に引き継がれないと、さまざまな問題が発生します。たとえば、夜勤の翌日は明けにする、特定の勤務には一定以上経験のあるスタッフを入れるなど、職場ごとに決まり事があります。こうした決まり事が明文化されていれば、新しい担当者も確認しながらシフトを作成できます。
しかし、前任者が頭の中だけで覚えていた場合や、「いつもこうしている」という感覚で処理していた場合は、引き継ぎの際に抜け落ちることがあります。
その結果、担当者交代後の勤務表で、守るべき条件が反映されなかったり、特定の日の人員配置に問題が出たりする可能性があります。職場の安全や業務継続に関わる条件が抜けると、重大な不備につながることもあります。
1-2. 作成者によって基準がばらつく
シフト作成時は、すべての条件を機械的に処理できるわけではありません。スタッフの希望をどこまで反映するか、負担の偏りをどの程度まで許容するか、経験の浅いスタッフをどのように配置するかなど、作成者の判断が必要になる場面があります。
このとき、前任者と新しい担当者で判断基準が大きく異なると、スタッフから見ると「急にシフトの決め方が変わった」と感じられることがあります。特に、スタッフへの配慮や公平性に関する基準が担当者によって変わると、シフト作成への納得感も揺らぎ、不満につながりやすくなります。
1-3. 勤務表の品質が作成者に依存する
シフト作成に慣れている担当者は、勤務表全体を見ながら、自然にさまざまな調整を行っています。たとえば、負担の重い勤務が続かないようにする、経験の浅いスタッフは経験のあるスタッフと組み合わせる、希望休が多い日には早めに人員を確認する、割り振りが難しい勤務から先に決めるなどです。
こうした作業は、表面上は勤務表を作っているだけに見えても、実際には多くの判断が含まれています。前任者が長年の経験で自然に行っていた調整を、新しい担当者がすぐに再現するのは簡単ではありません。
そのため、担当者が交代すると、勤務表の品質が大きく下がることがあります。必要人数は満たしていても、特定のスタッフに負担が集中したり、現場を回しにくい配置になったりすることがあります。
1-4. Excelテンプレートのマクロや関数が分からなくなる
Excelでシフト作成をしている職場では、前任者が独自にテンプレートを作り込んでいることがあります。日付や曜日の自動表示、休日の色分け、勤務回数の集計、条件付き書式、マクロなどを使って、シフト作成を効率化しているケースです。
こうしたテンプレートは便利ですが、作成した本人以外が仕組みを理解していない場合、担当者交代後に問題が起こることがあります。関数の参照先がずれて集計が正しく表示されない、マクロが動かない、列を追加したら自動計算が崩れる、といった不具合が出ても、どこを直せばよいか分からなくなる場合があります。
個人が作った複雑なExcelテンプレートは、効率化には役立つ一方で、その人がいなくなると保守が難しくなることがあります。
2. 担当者交代時の問題を防ぐための対処方法
担当者交代時の問題を防ぐには、シフト作成の内容をできるだけ明文化し、個人の記憶や感覚だけに頼らない形にしておくことが重要です。
2-1. シフト作成の決まり事を整理する
まず、職場ごとのシフト作成の決まり事を整理します。各シフトに必要な人数、夜勤の翌日の扱い、特定の勤務に入れるスタッフの条件、リーダーや責任者などの配置、連続勤務や勤務間隔の考え方、休日当番の回数、曜日ごとの配置ルールなどを確認します。
普段は特に意識せずに作成していても、こうした条件が明文化されていないことがあります。条件が整理されていないと、新しい担当者が何を確認すべきか分かりにくくなり、勤務表に不備が出る原因になります。
決まり事を整理しておくことは、シフト作成を仕組み化する第一歩です。前任者だけが分かっている状態ではなく、職場の共有情報として残しておくことが大切です。
2-2. 判断基準も明文化する
シフト作成では、明確なルールだけでなく、判断基準も重要です。たとえば、希望休をどこまで優先するのか、休日当番の偏りをどの程度まで許容するのか、リーダー回数をどのくらい均等にするのか、経験の浅いスタッフをどのような日に配置するのかといった基準です。
これらは完全に数値化できない場合もあります。それでも、「経験の浅いスタッフだけで負担の重い勤務を構成しない」など、考え方を言葉にしておくことで、担当者ごとのばらつきを抑えやすくなります。
ただし、基準を厳密にしすぎると、シフトが組みにくくなる場合があります。そのため、「必ず守る条件」と「できるだけ配慮する条件」を分けておくと実務的です。一定の基準を共有しつつ、必要な場面では作成者が調整できる余地を残しておくことも大切です。
2-3. 作成フローと確認項目を整理しておく
シフト作成では、実際に勤務を割り振る作業だけでなく、勤務希望の回収から勤務表の公開までの流れを整理しておくことも重要です。勤務希望をいつごろまでに集めるのか、集めた勤務希望をどのように勤務表に反映するのか、シフトを組み始める前に何を確認するのか、作成した勤務表をどのように公開するのかを整理しておきます。
特に、シフトを組み始める前の確認項目は重要です。全員の勤務希望が提出されているか、人員が足りない日がないか、特定の日に希望休や予定が集中していないかなどを確認しておくと、作成途中での抜けや手戻りを防ぎやすくなります。
また、実際にシフトを割り振る際の順番も、手順として残しておくとよいでしょう。前任者がどの勤務から割り振っていたのか、どの条件を先に確認していたのかが分かれば、新しい担当者も同じ流れで作成しやすくなります。
シフト作成の一連の流れを整理しておくことで、担当者が変わっても、毎月のシフト作成を抜けなく進めやすくなります。
2-4. Excelテンプレートの管理方法を決めておく
Excelを使う場合は、テンプレートの保守方法も決めておく必要があります。変更してよい部分と触ってはいけない部分を分ける、関数やマクロの内容を説明できるようにするなどの工夫が必要です。
ただし、複雑な関数やマクロで作られたテンプレートは、どうしても作成者に依存しやすくなります。Excelで効率化する場合でも、担当者が変わったときに運用できるか、修正できるかまで考えておくことが重要です。
3. シフト作成をアプリで仕組み化する方法
シフト作成の決まり事や判断基準を整理しておくことは、担当者交代時のトラブルを防ぐうえで重要です。作成フローやExcelテンプレートの管理方法を明確にしておくことも、シフト作成の仕組み化につながります。
一方で、文書や手順として残すだけでは、担当者の経験や感覚に依存する部分まで十分に仕組み化できません。シフト作成アプリを使えば、作成者の経験値にかかわらず、一定以上の品質の勤務表が作成できます。
Assignoは、職場ごとの運用をルールとして設定し、その条件に沿ってシフトを自動で割り振るシフト作成支援アプリです。シフト作成者が経験や感覚で行っていた判断を、システムに組み込めることが特徴です。設定したルールはシステム内に保存されるため、担当者が変わっても、アプリの操作方法が分かれば、同じ基準で勤務表を作成できます。
シフト作成の属人化を防ぎ、担当者が変わっても安定して運用できる仕組みにしたい場合は、このようなシフト作成アプリを活用することもひとつの方法です。
監修者:水口 泰介
アサイノ・テクノロジーズ株式会社 代表
大学病院の医師として、部署内で約60名のスタッフのシフト作成を担当した経験をもとに、シフト作成支援アプリケーションAssignoを開発。シフト作成の考え方や判断基準を整理・体系化し、誰でも使える形でノウハウを仕組み化することに取り組んでいる。