シフトを公平に決める方法とは?不満が出にくいシフト作成の考え方
公開日:2026.05.01

シフト作成でよくある悩みのひとつが、「公平にシフトを決めること」です。できるだけ偏りが出ないように調整しているつもりでも、スタッフから「夜勤が多い」「土日ばかり入っている」「負担の重い勤務が続いている」「あの人だけ楽なシフトが多い」といった不満が出ることがあります。
シフト作成者としては、勤務回数、夜勤、休日勤務、連勤、スタッフごとの事情などを考慮しているつもりでも、全員が納得するシフトにするのは簡単ではありません。なぜなら、シフトの公平性は、ひとつの基準だけで決まるものではないからです。夜勤、休日勤務、早番・遅番、連勤、スタッフごとの予定、スキルや役割など、さまざまな条件が重なって決まります。大切なのは、職場ごとの条件を整理し、どのような基準でシフトを決めるのかを明確にすることです。
目次
- 公平性は、ひとつの基準だけでは判断しにくい
- 不公平感は、勤務回数の偏りだけで生まれるわけではない
- 公平性を考えるには、条件を分けて整理する
- 「必ず守る条件」と「できるだけ整える条件」を分ける
- スタッフごとの事情を反映しても、負担が偏ることがある
- 公平性は、毎月の判断基準としてルール化する
- ルールが増えるほど、シフトが組めない原因も見えにくくなる
- シフト作成を仕組み化することが、公平性の維持につながる
- 職場のルールを反映したシフト作成を支える方法
1. 公平性は、ひとつの基準だけでは判断しにくい
公平性を考えるとき、勤務回数の偏りは分かりやすい確認項目です。もちろん、勤務回数の偏りは不満につながりやすいため、できるだけ均等にすることは大切です。しかし、勤務回数が同じでも、スタッフが感じる負担は同じとは限りません。たとえば、同じ20回の勤務でも、日勤中心のスタッフと、夜勤や土日勤務が多いスタッフでは、負担感が大きく異なります。また、早番が続く人、遅番が続く人、責任者として入ることが多い人も、単純な勤務回数だけでは負担を判断できません。
シフトの公平性には、いくつかの観点があります。
| 観点 | 内容 |
| 勤務回数の公平 | 月ごとの勤務回数に大きな偏りがないか |
| 負担の大きい勤務の公平 | 夜勤、当直、休日勤務などが偏っていないか |
| 勤務間隔の公平 | 連勤や短い勤務間隔が特定のスタッフに集中していないか |
| 役割配置の公平 | 責任者、リーダー、資格者などの役割が偏っていないか |
| 判断基準の公平 | 毎月の判断基準が一貫しているか |
この中のどれかひとつだけを見ても、全体として公平なシフトになるとは限りません。公平なシフトを作るには、まず「何を公平にしたいのか」を分けて考える必要があります。
2. 不公平感は、勤務回数の偏りだけで生まれるわけではない
シフトへの不満は、単に勤務が偏っているから起こるとは限りません。実際には、「なぜそのシフトになったのか分からない」「どの条件が優先されたのか分からない」「毎月、判断基準が変わっているように見える」「勤務回数は同じでも、負担の重い勤務が偏っている」といった理由で不満が出ることがあります。つまり、シフトの公平性には「結果の公平」だけでなく、「判断基準の公平」もあります。
たとえば、ある月は夜勤回数の均等を重視し、別の月は勤務できるスタッフの都合を強く優先したとします。シフト作成者としては、その月ごとの状況に合わせて調整しているだけかもしれません。しかし、基準が見えないと、スタッフには「なんとなく決められている」「人によって扱いが違う」と受け取られる可能性があります。そのため、公平なシフト作成では、結果を整えるだけでなく、判断基準を一貫させることが重要です。
3. 公平性を考えるには、条件を分けて整理する
シフト作成が難しいのは、複数の条件が同時に関係するからです。たとえば、夜勤は月に最大4回まで、休日当番は月に2回まで、夜勤の翌日は明けにする、連続勤務は7日までにする、各シフトに資格を持つスタッフを1人以上入れる、といった条件があるとします。
ひとつひとつの条件は自然でも、すべてを同時に満たすのは簡単ではありません。夜勤回数の上限を厳しくすると、夜勤に入れる候補が減ります。勤務間隔を広く取ろうとすると、次に割り振れる日が限られます。スキルを持つスタッフを必ず配置しようとすると、特定のスタッフに勤務が集中しやすくなることもあります。つまり、シフト作成の難しさは、単に「作業量が多い」ことではありません。本質的には、複数の条件がぶつかることにあります。
公平なシフトを作るには、まず条件を分解し、それぞれが何を目的としているのかを整理する必要があります。勤務回数の偏りを防ぎたいのか。夜勤や休日勤務の負担を分散したいのか。連勤を避けたいのか。必要なスキルを持つスタッフを確実に配置したいのか。目的を分けて考えることで、どの条件をどのように扱うべきかが見えやすくなります。
4. 「必ず守る条件」と「できるだけ整える条件」を分ける
複数の条件をすべて同じ強さで扱うと、シフトが組めなくなることがあります。そのため、条件には優先順位をつける必要があります。たとえば、次のように分けて考えると整理しやすくなります。
| 条件の種類 | 例 |
| 必ず守る条件 | ・必要人数を満たす ・勤務できない日にシフトを入れない ・夜勤や当直の翌日は明けにする ・資格やスキルを持つスタッフを必ず配置する |
| できるだけ整える条件 | ・勤務回数をなるべく均等にする ・夜勤回数をなるべく均等にする ・休日勤務をなるべく均等にする ・連勤をなるべく少なくする |
ここで重要なのは、「できるだけ整える条件」が重要ではないという意味ではありません。むしろ、スタッフの納得感に大きく関わる重要な条件です。ただし、すべてを絶対条件にしてしまうと、シフト自体が組めなくなることがあります。
たとえば、夜勤回数を完全に均等にし、休日勤務も均等にし、連勤も避け、スキル配置も必ず満たす必要がある場合、スタッフ数や勤務可能日の状況によっては条件がぶつかります。そのため、公平性を保つには、条件を守るだけでなく、条件同士がぶつかったときにどう判断するかまで決めておく必要があります。
5. スタッフごとの事情を反映しても、負担が偏ることがある
シフト作成では、スタッフごとの事情を反映することも重要です。たとえば、有給休暇、研修、固定の予定、勤務できない曜日、家庭の事情などがあります。こうした事情を反映することは、スタッフにとっても職場にとっても大切です。
しかし、スタッフごとの事情を反映すれば、それだけで公平になるわけではありません。特定の日に勤務できるスタッフが少なくなると、その分だけ他のスタッフに勤務が寄ることがあります。特定の曜日に休みや予定が集中すると、同じスタッフばかりが勤務に入ることもあります。この場合、予定があるスタッフから見ると自然な調整でも、その分を埋めるスタッフから見ると「自分ばかり負担している」と感じる可能性があります。つまり、スタッフごとの事情への配慮と、勤務負担の公平性は、必ずしも一致しません。
公平なシフト作成では、スタッフごとの事情を反映したうえで、勤務回数、夜勤や休日勤務、連勤、スキルを持つスタッフへの負担などをあわせて確認することが大切です。スタッフごとの事情は、単独で見るのではなく、他の条件にどのような影響を与えているかまで考える必要があります。
6. 公平性は、毎月の判断基準としてルール化する
シフト作成者が毎月感覚で調整していると、どうしても判断がぶれやすくなります。もちろん、現場の事情に応じた柔軟な調整は必要です。しかし、判断基準が見えないままだと、スタッフからは「作成者の主観で決められている」と受け取られることがあります。
そこで重要になるのが、シフト作成のルール化です。たとえば、次のようなルールをあらかじめ決めておきます。
- 夜勤は月に最大○回まで
- 休日勤務は月に最大○回まで
- 連勤は最大○日まで
- 夜勤の翌日は明けにする
- 特定のスキルを持つスタッフを必ず配置する
このようにルール化すると、シフト作成時の判断基準が明確になります。ルールは、スタッフを縛るためだけのものではありません。職場として何を大切にしてシフトを作るのかを整理するためのものです。
勤務回数を重視するのか。夜勤の偏りを重視するのか。休日勤務の負担を分散したいのか。スキル配置をどこまで優先するのか。こうした基準を明確にすることで、シフト作成者の負担を減らし、スタッフにも説明しやすいシフトに近づけることができます。
7. ルールが増えるほど、シフトが組めない原因も見えにくくなる
公平性を高めるためにルールを増やすと、シフトが組みにくくなることがあります。これは、ルールが悪いということではありません。むしろ、職場の運用を丁寧に反映しようとすると、条件が複雑になるのは自然です。
問題は、シフトが組めないときに、どの条件が影響しているか分からないことです。たとえば、必要人数に対して勤務できるスタッフが少ない、夜勤回数の上限が厳しすぎる、勤務間隔の条件が厳しすぎる、スキルを持つスタッフが不足している、といった原因が考えられます。
このとき、原因が分からないまま条件を緩めると、どこを調整すればよいのか分からなくなります。夜勤回数の上限を緩めれば割り振れるのか、勤務間隔を見直す必要があるのか、スキル配置の条件が厳しすぎるのか。原因によって、取るべき対応は変わります。公平なシフト作成では、「ルールを設定すること」と同じくらい、「うまく組めないときに見直すべき条件を把握すること」が重要です。
8. シフト作成を仕組み化することが、公平性の維持につながる
公平なシフトを作るには、毎月その場で調整するだけでは限界があります。担当者の経験や勘に頼っていると、作成者が変わったときに判断基準が引き継がれにくくなります。また、同じ担当者が作り続ける場合でも、月ごとの忙しさや条件の違いによって、判断がぶれることがあります。
そこで重要になるのが、勤務表作成を仕組み化することです。職場のルールを一度整理しておけば、次回以降も同じ基準でシフトを作成しやすくなります。たとえば、夜勤明けの扱い、勤務間隔、連勤上限、スキル配置、休日当番回数などをルールとして残しておけば、毎月ゼロから考え直す必要がなくなります。
担当者が変わっても、職場としてのシフト作成の基準を引き継ぎやすくなります。公平性は、一度だけ整えればよいものではありません。毎月のシフト作成の中で、同じ基準を継続して適用できることが重要です。その意味で、ルールを整理し、勤務表作成の仕組みとして残しておくことは、公平性を維持するための大きな助けになります。
9. 職場のルールを反映したシフト作成を支える方法

シフトの公平性を保つには、職場ごとの条件を整理し、それに基づいてシフトを作成できる仕組みがあると便利です。Assignoは、職場ごとの決まり事をルールとして設定し、その条件に沿ってシフトを自動で割り振るシフト作成支援アプリです。
単にシフト表を早く作るだけでなく、「夜勤の翌日は明けにする」「特定の役割をもつスタッフを必ず配置する」「勤務回数や休日勤務の偏りを抑える」といった職場ごとの運用を、毎月の判断基準として残せることを重視しています。シフト割り振りがうまくいかない場合には、どの条件を見直せば割り振りやすくなるかを確認できます。
毎月のシフト作成で同じ基準を保ちやすくしたい場合は、こうした仕組みを活用することもひとつの方法です。
まとめ
シフトを公平に決めるには、勤務回数をそろえるだけでは不十分です。夜勤、休日勤務、連勤、勤務間隔、スキル、役割、スタッフの予定など、さまざまな要素を考慮する必要があります。また、公平性には「結果の公平」だけでなく、「判断基準の公平」もあります。なぜそのシフトになったのか、どの条件を優先したのかが分からないと、スタッフは不公平に感じやすくなります。
公平なシフト作成で大切なのは、職場の条件を分解し、ルールとして整理することです。そのうえで、必ず守る条件とできるだけ整える条件を分け、シフトが組めない場合にはどの条件が影響しているのかを確認する必要があります。公平なシフト作成は、作成者の感覚や努力だけで続けるには限界があります。
毎月のシフト作成を少しでも楽にし、職場のルールを反映したシフトを作りたい場合は、ルールに基づいてシフトを自動で割り振れる仕組みを活用することも、ひとつの方法です。
監修者:水口 泰介
アサイノ・テクノロジーズ株式会社 代表
大学病院の医師として、部署内で約60名のスタッフのシフト作成を担当した経験をもとに、シフト作成支援アプリケーションAssignoを開発。シフト作成の考え方や判断基準を整理・体系化し、誰でも使える形でノウハウを仕組み化することに取り組んでいる。